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食べること、飲み込むことに関する障害【摂食嚥下障害】“Aphasia & Higher Brain Dysfunction”【たべる】

食べること、飲み込むことに関する障害【摂食嚥下障害】“Aphasia & Higher Brain Dysfunction”【たべる】

障害の概要

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食べたいものを口に運べない、噛めない、飲み込めない。

私たちは生きていくために必要なエネルギーを、食事から摂っています。この「食べる」という行為を、リハビリテーションの分野では「摂食嚥下(えんげ)」といいます。摂食嚥下とは、食べ物を食べ物として認識し、口に入れて咀嚼し、飲み込み、胃に取り入れるまでの一連の行程を指しています。食道に入るはずの食べ物が誤って気管に入ることを「誤嚥」といいますが、食べ物が肺に入ると、炎症を引き起こすことがあります。いったん肺炎になると食事が摂れなくなり、体力や嚥下機能を低下させ、また肺炎を引き起こすという悪循環に陥りやすくなります。また、食べ物の硬さや大きさが患者さんの咀嚼(そしゃく)や嚥下機能に合わないと窒息を起こしやすく、短時間の呼吸停止でも脳に大きなダメージを与えます。こうしたことが繰り返されると、栄養や水分が十分に取れなくなり、低栄養や脱水をも生じ、命に直結する深刻な問題を引き起こしてしまうのです。

02  例えば?

例えば、こんなこと/こんな時ありませんか?

  • イラスト01

    食事中によくむせる。お茶を飲むとよくむせる。

  • イラスト02

    風邪でもないのによく咳が出る。
    睡眠中に咳き込む。

  • イラスト03

    喉に食べ物が詰まっているような異物感を感じる。

03  検査や治療について

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患者さんにあった正しい食べ方、飲み込み方を訓練します。

摂食嚥下のリハビリテーションは「評価・訓練」、「栄養管理」、「全身管理」の3つを並行しながら進めます。この中でも言語聴覚士は、摂食嚥下に関する「評価・訓練」を担当します。飲み込みの状態を調べる簡易検査や、X線や内視鏡等の精密機器を用いた検査を行っていき、これらの検査結果から原因などを推測し、患者さんに合わせた訓練を行います。
訓練方法としては、食物を用いずに食べることに必要な筋力を鍛え、動きを改善する「間接訓練」と、食物を実際に嚥下することで機能を高める「直接訓練」とに大別されます。また、食べることが難しい人が対象なので、必要なカロリーが不足していないか等、適切な栄養管理が必要です。栄養が不足しているときは、チューブを使って胃に栄養や水分を送り込む等の治療も行いますが、障害が重度で、訓練の効果が見込めない場合には、嚥下機能の改善や誤嚥防止を目的とした外科手術を選択することもあります。

04  予防について

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適度な運動や食生活に注意して、生活習慣を正しくしましょう。

高血圧や肥満、糖尿などの「生活習慣病」を予防することが最大の予防対策になりますが、年を取っていくことによっても、全身の筋力が衰えてしまうため、摂食嚥下機能にさまざま変化をもたらします。体操をしたり、ウォーキングをしたり、適度な運動を日常習慣的に取り入れて、全身の筋力を維持していくことが大切です。
特に、喉の筋肉は嚥下にとって重要な筋肉であり、よく笑い、よく食べ、よくしゃべることも大事です。また、腹筋力は誤嚥物を排出するときに使う筋肉ですので、日々の暮らしを見つめ直し、全身の筋力を維持することが大切でしょう。

05  未来の話

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こんな未来も始まっています。

摂食嚥下障害の患者さんが、誤嚥しにくいように工夫された食事を「嚥下食」といいますが、現在、この嚥下食もどんどん改良され、食欲をそそるものがたくさん開発されています。今後の医療の進歩と食品加工技術の発達によって、摂食嚥下障害の患者さんがもっと満足できるような、見た目も味も普通の食事とそっくりな嚥下食が登場するかもしれません。「口からものを食べる」ということは「生きる楽しみ」であり、「明日の活力」であり、「人とのコミュニケーション」でもあります。患者さんはきっと普通のものを普通に食べられる(飲める)ようになりたいと願っているのではないでしょうか。食べるという楽しみを支えること。それもまた言語聴覚士の仕事の一つです。

06  さいごに

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周囲の方へ。

摂食嚥下障害があったらまったく口から食べられないということではありません。食事形態や姿勢・体位の工夫、食べ(させ)方の工夫など、誤嚥を防ぐ方法を守りながら食事をすれば誤嚥をしないで安全に食べられる人も多いのです。また、食事を介助される方は、姿勢を低くし、自分の目線を患者さんの目線に合わせること。そして、一口の量や、口に運ぶペースに気を付けることが大切です。一口ごとに飲み込んだことを確認しながら、次の一口を。「少量ずつ、ゆっくりと」を意識しながら、誤嚥を防ぐための方法を守って食事していただくことが大切です。

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もしかしたらと思ったら...

健康な人でも、食事時にたまにはむせることもあります。たまたま1回むせたからといって、嚥下障害があるとはいいません。歳を重ねるごとに、嚥下機能が少しずつ低下していき、食事の時に「むせ」が多くなることもあります。ここからが嚥下障害の始まりだ、という線を引くのは難しいですので、いつもと違うな、多くなってるかも、と思ったら、一度、「耳鼻咽喉科」や「神経内科」を受診してください。

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