• STってどんな仕事?
  • 対象となる障害は?
  • STの現場から
  • 本学での学び
  • よくあるご質問

【OHSUの講師紹介】Introducing Teachers

言語聴覚士・臨床発達心理士 / 修士(言語学) / 専任教員【工藤 芳幸】Yoshiyuki Kudo

[学位]
修士(言語学)
[専門分野]
小児の言語・コミュニケーション障害
発達に関わる臨床領域
[研究内容]
言語・コミュニケーション発達の障害と支援の方法
保育現場へのSTの関わりについての検討
発達障害のある子どもの臨床実践
[所属学会]
日本コミュニケーション障害学会/日本発達心理学会/日本社会臨床学会/日本言語聴覚士協会/日本臨床発達心理士会/子どもの発達支援を考えるSTの会
[授業担当科目]
生涯発達心理学Ⅰ/言語発達障害Ⅰ(援助法‐基礎)/言語発達障害Ⅱ(概論)/言語発達障害Ⅳ(評価法‐各論)/言語発達障害Ⅴ(援助法‐各論)/言語発達障害Ⅶ(援助法‐臨床)

[これまでの活動]

大学卒業後、重症心身障害児(者)施設の病棟勤務(児童指導員)を経て、言語聴覚士になりました。以後、重症心身障害児(者)施設や自治体の療育・相談機関、一般病院のリハビリテーション科(外来)で、小児の言語・コミュニケーション発達支援や相談業務などに従事してきました。

私の教えていること

子どもの発達の道筋や、検査法などは、臨床を意識して教えるようにしています。

【言語発達障害Ⅰ】では観察を学びます。全ての基本は「観察」ですが、ここでは予め決まったフォームを使う前に、人の行動を観察することをビデオ教材やロールプレイ、また保育所見学実習(1日)とその後の報告書などを題材にした演習をしています。【言語発達障害Ⅱ】では、言語・コミュニケーションの問題が伴う様々な疾患や障害についての概要を学んでもらいます。【生涯発達心理学Ⅰ(乳幼児期)】は、子どもの発達の基礎科目です。運動や認知、言語・コミュニケーション、母子関係などの発達過程を学びます。0歳~小学校入学前ぐらいまでの成長・発達について年齢を追って講義し、途中で小テストも入れながら発達の流れを掴んでもらいます。【言語発達障害Ⅳ】は、アセスメント(評価)の実践を学ぶ科目です。実際にお子さんに協力していただき、学生さんに発達検査を実施してもらいます。【言語発達障害Ⅴ】では小児の言語・コミュニケーション障害について、具体的な支援・介入技法等も含め、より実践的な内容を扱っています。

photo:工藤 芳幸

最初の授業で伝えること

当たり前のことですが、他者との出会いは「わからない」からのスタートです。

photo:工藤 芳幸

例年、私が担当する最初の講義は「生涯発達心理学Ⅰ」です。その1コマ目で必ず紹介する本が2冊あります。橋本治の「「わらからない」という方法」(集英社新書)と中谷宇吉郎の「科学の方法」(岩波新書)です。この本を紹介して伝えたいことは「人が人を100%わかるということは不可能である」、という大前提と「わかること、他者と重なり合う部分をどう築いていくか」ということです。それぞれの人間が個性的な生である限り、やはり「わからない」ところからスタートせざるを得ません。
近年、エビデンス(根拠)に基づく支援がますます重要性を増しています。エビデンスを積み重ねることで「わかる」こともたくさんあります。一方で、科学的エビデンスとして「わかっている」ことは、現在の科学の方法、モノサシでとらえられる現象のみを扱っているという側面を知ってほしいと思います。「科学の方法」の効用と限界を考えつつ、それでとらえていけることをとらえ、同時に「わからない」という前提で人に向き合い、了解し合える部分をつくっていくことが臨床家には大事だと考えています。そのためにも、講義や演習の中で現場や実際の子どものエピソードもまじえて話し、机上の学びと実践を少しでもつなげてもらえたらいいかな、と思います。

学生のみなさんへ

よく誤解されるのですが、「アセスメント=検査」ではありません。

photo:工藤 芳幸

講義では「評価」の方法を伝えますが、検査=評価ではありません。単純に対象者がどの障害に当てはまるかということを「ジャッジ」するためのものではありません。対象者の現状を検査も活用しながら捉え、どのような支援が必要かを見出していくことが目的です。そのためにも検査の課題でどのような力を見ようとしているのか、よく考えて欲しいと思います。
他にもまた、検査に基づき報告書を書く演習がありますが、その報告書を誰が読むのか?ということは大事な視点です。保護者の方、保育園の先生、医療関係の専門職、それぞれへの伝え方は充分に吟味しなければなりません。伝わらなければ報告する意味がありません。どんなメッセージを伝えたいのか、対象者に何が伝われば少しでも前に進んでいけるのか、を考えられることは言語聴覚士にとって必要な力だと思います。「云うは易し」でそんなに簡単なことではありませんが・・・。

photo:工藤 芳幸

人はそれぞれが固有の身体を持ち、多様なストーリーを生きている存在です。それぞれにどのような支援のかたちが有効か、まだはっきりとした答えはありませんが、ひとつ確かなのは、子どもやその家族の育ちに丁寧に付き合うことです。
現代は子育てや大人になるということがなぜか難しくなっているように感じています。今、何ができるのかを一緒に考え、実践していく仲間が増えてくれると嬉しく思います。

photo:工藤 芳幸

「人を育てることは自分を育てること」。恩師からもらった言葉です。私のような若手は、まだまだ道半ば、です。これからも学生さんと一緒に学びを深めていこうと思っています。 工藤 芳幸

PAGE TOP