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ST MAGAZINE - 言語聴覚士が対象とする障害とその臨床 -

[失語症・高次脳機能障害] 交通事項で失語症に。しかし、チーム医療で看護学校への復学をサポート。

宮崎 友理(みやざき・ゆり)さん

和歌山県立医科大学附属病院 リハビリテーション部 言語聴覚士
神戸大学卒業。老人保健施設にて、音楽療法士として勤務。大阪保健医療大学言語聴覚専攻科修了。和歌山県立医科大学附属病院リハビリテーション部にて勤務。※取材当時

INTRODUCTION

私たちの脳には、言語や思考、記憶、注意など様々な機能があり、重要な働きをしています。病気や事故などで大脳に損傷を受けると、ことばを話したり理解したりすることが難しくなることがあります(失語症)。また、新しく何かを覚えたり、手順を考えて物事を行ったりすることが難しくなることもあります(記憶障害・遂行機能障害)。高次脳機能障害には、他にも注意障害や社会的行動障害など様々な障害があり、その特徴によって生活や就業の上でいろいろな困難が生じます。しかし、外見からはわかりにくく、言語聴覚士などの専門職が介入して、症状の改善と周囲への理解に努めることが大切です。

交通事故で失語症に…

バイクの事故で頭を強く打ったAさん。18歳の女性、看護学校1年生です。出血と脳の腫れのため、頭蓋骨を一部外すという大きな手術をしました。一命は取り留めたものの、何を尋ねても自分の名前を答えるだけのAさん。失語症でした。その他、記憶の障害や、集中力の障害、性格の変化(すぐにカッとなる、衝動的な行動をしてしまうなど)が見られていました。

力を発揮したチーム医療

事故翌日からリハビリ開始。PT・OT・ST、リハビリ科の医師、病棟看護師で情報交換をしながら、STでは主に、言葉を聴く練習、理解する練習、記憶する練習や記憶を補う方法の検討などを行いました。回復のレベルに合わせて、学校の教科書を使った課題や、授業を想定した聞き取り・板書の書き写しの練習も取り入れました。

時には友達や彼氏の悩み相談を聞いたりもしました。驚くほどの回復力を見せてはくれたものの、目標は「看護師」という大変難しい仕事です。学校に戻って勉強についていけるのか、友達とうまく人間関係を取り戻していけるのか、通学手段をどうするか…。課題は山積みでした。

病院から許可を取って、PT・OT・STで自宅を訪問し、本人を連れて、自宅から学校までの道のりを、通学を想定して自転車で走りました。お母様と学校の先生に病院に来ていただき、今後の生活や復学・就職について意見交換を行いました。

「先生!単位が取れた!!」

そして約半年後、復学が叶いました。「何とか授業聴いてるけど、わからん時もある」「ついていけなくなったら友達にきいてる」「スケジュールは手帳に書いてる」。しかし…「弟と大喧嘩して物を投げた」「お母さんに内緒でまたバイク乗った」「もう学校辞めたい」ということも。やがて…「先生!テストいけたで!単位取れた!」「バイトも再開してみる」。目標は「看護師になって、この病院に戻ってくること」だそうです。いろんな経験を経て、素敵な看護師さんになった彼女に会える日が、今から楽しみです。


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「言語聴覚士という選択」第2版(製作:大坂保健医療大学 言語聴覚専攻科)
この記事の引用元にもなっているこの冊子は、言語聴覚士という職業を知っていただくために作られました。言語聴覚士という選択。その先に何が見えるのか、ぜひご覧ください。ダウンロードはこちら(PDF)から。

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