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ST MAGAZINE - 言語聴覚士の裾野の広がり -

[病院] 障がいをパートナーとして生きる人たちから学ぶ。勉強する気持ちをなくしては、STは続けられません。

定岡綾(さだおか・あや)さん

言語聴覚士

関西学院大学卒業後、日本航空へ勤務。失語症の方との出会いをきっかけに言語聴覚士を生涯の仕事にしようと大阪リハビリテーション専門学校へ入学。現在は地元の急性期総合病院、救命救急センターで奮闘中。※取材当時

その生きざまを職務の糧に

「患者さんの生きざまを見せてもらいなさい」私が言語聴覚士の実習生の時に、実習地の病院の大先輩からいただいた言葉で、心の奥深くにずっと大事に持っている言葉です。言語聴覚士になるために2年間の専門教育を受け、見学自習、評価実習、総合臨床実習と3度の実習を行いました。12年を経た今でもそのとき担当させていただいた患者さんは鮮明に思い出すことができます。

中でも臨床実習で担当させていただいたS様とは文通をとおしながら、病院を退院しもとの生活や仕事に戻られる過程、思うようにいかず苦悩されながらも明るく前に進まれる生きざまを見させていただきました。初めてお会いしたのは脳梗塞の治療が終わり、後遺症に対して専門的な回復期リハビリテーションを受ける病院でした。S様は身体に後遺症はありませんでした。しかし、思い失語症があり日常会話を理解すること、自身の思いを伝えることが難しい状態でした。母国語が使えなくなる恐怖感と孤独感、経営者として早く仕事に復帰しなければと焦る気持ちもあったと思います。

しかし当時の私は失語症の症状にばかり目を向けて、複雑な症状の原因と、どのような訓練をすれば少しでも回復するのかを考えるだけで精一杯でした。今この時期にどのような援助をすればS様らしい生活を送ることができるのか、S様の人生の重みや思い、救われた命のその後をいかに過ごすのかといった思いを汲み取ることができませんでした。九州から初めて届いた手紙は文字の大きさが様々で、失語症の症状である書き誤りがたくさんありましたが、一生懸命に書かれたS様の姿が想像できる温かい手紙でした。時にはうまくいかない状況を嘆く内容が届き、また時には年月を重ねて少しずつ回復していく様子が伺われ、「失語症を持ちながら生きること」を教えていただきました。

患者さんと二人三脚で

病院では毎日様々なコミュニケーション障害、嚥下障害を抱える患者さんに出会います。リハビリテーションは「障害を持ちながら生きる」という視点を抜きに進めることはできないと思います。患者さんが少しでも「もう一度、私らしく生きてみよう」とその一歩を踏み出せるよう、言語聴覚士として専門的な知識と技術を鍛錬し続け、また人として成熟するよう丁寧に生きていきたいと思います

さあ、患者さんの一歩を実現するために明日も切磋琢磨です。言語聴覚士の仕事に興味を持たれた方はぜひ一歩を踏み出してみてください。


STをもっと知りたい方は冊子でも

「言語聴覚士という選択」第2版(製作:大坂保健医療大学 言語聴覚専攻科)
この記事の引用元にもなっているこの冊子は、言語聴覚士という職業を知っていただくために作られました。言語聴覚士という選択。その先に何が見えるのか、ぜひご覧ください。ダウンロードはこちら(PDF)から。

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