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先輩STのほんとの話(座談会 vol.1)

Q:キャリアチェンジのきっかけを教えてください。

赤澤 : 祖母が入院時に嚥下障害になったことで、STという職業があることを初めて知ったのがきっかけです。その出来事の3か月後には、ここで入試を受けていました。

青田 : リーマンショックの影響で勤めていた会社でもリストラがあったりで、将来に不安を感じたのがきっかけです。年齢を重ねても働ける、経験を積み重ねられる仕事をしたいと思いました。

門林 : 私も同じです。前職が激務で、終電で帰ることもしばしばで。非常にやりがいはありましたが、ワークライフバランスを考えるとこのままでは難しいと感じたのがきっかけです。

Q.そこでどうしてSTを選ばれたのですか?

赤澤: 国家資格になってまだ十数年ということでSTの人数はまだまだ少ないですし、これから高齢化社会になっていく上でますます必要性が高まるのは間違いないと考えたからです。将来結婚し、子どもが生まれても続けられるという点も大きかったです。

青田 : 私も、これからどんどん伸びていく職業という将来性の高さはポイントでした。また、高次脳機能障害など勉強してみたいと思える内容が多くあったのも魅力でした。

門林 : 私は母親が小児の発達障害領域に関わる仕事をしていて、人材不足だということを聞いていたので、必要とされる職業だと知ったのが一番の理由です。

Q. STになると決めてから本学を受験するまでのプロセスを教えてください。

門林 : まず資料請求をして、学校選びを始めました。最短期間での資格取得を目指していたので、一年制や夜間の学校も検討しました。パンフレットを取り寄せた中で、直観的に一番いいなと思えたのがこの学校だったので説明会に参加することにしました。

青田 : 私はいくつかの学校のパンフレットを直接学校まで取りに行きました。その中で、この学校の『言語聴覚士という選択』という冊子を読んでSTという職業について、学校の姿勢、先生方の想いなどをしっかり知ることが出来たのでこの学校に決めました。

Q. 入試についてはいかがでしたか?

門林 : 私は土日が休めない仕事に就いていたので、受験設定日に仕事が休めるかどうかが気がかりでした。ハードスケジュールだったので、入試の準備もほとんどできませんでした。

赤澤 : 私も、決心してすぐに受験したので、入試対策はあまりできませんでした。

青田 : 私は小論文と国語の過去問題に目を通し、小論文を二本ほど実際に自分で書いてみました。『ここしかない!』という思いが強かったので。

Q.学校生活が始まっていかがでしたか?

門林 : 解剖学の講義に圧倒されてしまいましたが、これを乗り越えなければSTになれない、との思いから必死で向き合いました。

Q.皆さん大学の専攻は文系ですか。

一同 : 文系です。

赤澤 : 社会人から急に勉強漬けの毎日になったので、最初は慣れるのに苦労しました。ペースをつかむまでが大変でした。

門林 : でも、青ちゃん(青田さん)が『みんなで勉強しよう』って声をかけてくれて。おしゃれなカフェに集まって勉強会を開いたんです。そこで聴覚障害について勉強したら、講義内容も分かるようになり受講する姿勢も変わりました。入学早々にみんなで勉強する楽しさや、効率の良さを実感できたことは本当にラッキーでした。

青田 : お互い教えてもらいたいことがあっても、やはり最初は遠慮してしまうと思ったので、みんなに声をかけてみました。私もたくさん教えてもらえてよかったです。

Q.忙しい学校生活だったと思いますが、どのような楽しみがありましたか?

青田 : 盛大にぱぁっと!というわけにはいきませんが、カフェでスイーツを食べたり。

門林 : 天満橋におしゃれなカフェがあるのでそこでみんなでお茶をしたり、あとはバーベキューにも行きましたね。クラスのイベントがいくつかありました。

Q.クラスみんなで支え合うのが本学の特徴の一つだと思うのですが、いかがでしたか?

門林 : 青ちゃんが『クラス全員で合格しなければ意味がない』と言ってくれて。国家試験の前にはみんなで助け合って勉強しました。

青田 : (学内の模擬試験で)なかなか合格点に届かなかったクラスメートが合格点を取れた時にはみんなで拍手したり。

赤澤 : うれしかったよね。

門林 : 勉強に苦労しているクラスメートを放っておくということはなかったですね。

Q.臨床実習はいかがでしたか?

門林 : 私は本当に楽しかったです。I期実習で「あ〜STになりたい!」って思えて。やっと患者様に会えた、という気持ちが大きかったです。

青田 : 私はII期実習で苦労しました。患者様の評価をさせていただいたものの、どう判断していいか分からなくて。自分のカ不足なんですけど。

Q.実習は患者様に会えるというのが大きいですよね。

赤澤 : いくらでも頑張ろうという気持ちになれますよね。

Q.国家試験に合格し晴れてSTになられた今、いかがですか?

青田 : 大変だけど、本当にいい仕事だなと思います。この一言に尽きます。

Q.どのような点が大変ですか?

青田 : 私は急性期の病院に勤めているので、担当させていただく患者様の数が多いのですが、もっと時間があればと思うことが多いです。

門林 : 私はこの間「お食い締め(おくいじめ)」に関わらせていただきました。その方は終末期の方で三か月間絶食状態でした。そういった場合、多くはSTによるリハビリは終了になることが多いのですが、残された機能を維持するために何かできることがあるのではないかと考えて、三か月間、歯科衛生士さんや看護師さんにも協力していただき、口腔や顔面、飲込みの機能維持に努めました。そして、もういよいよという時、医師から最後のお食事の許可が出されたのです。亡くなられる前日までの四日間でした。ご家族はその方がお好きだった桃などを持って来られたのですが、機能維持の働きかけの甲斐あってか、召し上がっていただくことができました。ご家族様からも「もう悔いはありません」と言っていただけて、頑張って本当によかったなと思えました。終末期にある患者様の最後のお食事に向かっていろいろと努力できたことで、STが本当に素晴らしい仕事だと改めて実感することが出来ました。

赤澤 : STの仕事って素敵ですよね。やりがいがあります。そうやって喜んでいただいている姿を見ると本当にそう思います。また、どんどん良くなられる様子をうかがうのもうれしいです。一切食べられなかった患者様が良くなられて病前と同じ食事が可能になり、ご自宅に退院された時などは大きな達成感があります。

インタビュアー : お話を聞かせていただき、ありがとうございました。STとして、心を込めて患者様と接し、着実に経験を積んでいますね。これからもがんばってください。

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