1999年の第1回国家試験以降、言語聴覚士が活躍する場は急速に広がっています。これには、日本の人口構成や社会情勢、政策が深く関わっています。「少子高齢化」という言葉を耳にするようになって久しいですが、今の日本の高齢化率は28.4%、約3人に1人が高齢者という時代です。今後もこの割合は増える見込みです。高齢者が増え、言語聴覚療法や摂食嚥下療法の対象者が増えているという現状もありますが、社会のしくみも変化しています。高齢化社会にむけた政策として2000年に「介護保険」がスタートし、リハビリテーションは医療から福祉へと広がっています。発症後から一定期間は病院(医療保険)でリハビリテーションを行い、その後は自宅や施設(介護保険)でリハビリテーションを、という流れになってきました。そのため、医療と福祉の両方の現場で言語聴覚療法が求められています。