教育情報
障がいをお持ちの方にご協力いただき、言語聴覚士としての姿勢を学ぶ貴重な時間があります。
患者様との寄り添い方を知る機会
たとえば、失語症により「きょっとん」としか声を発することができない患者様でも、その表情やジェスチャーは実に豊かで家族の方は何を伝えたいのかがわかっていらっしゃいます。1年次の対話会では知識や技術のない早い段階で患者様と接することで、質問の投げかけ方などに言語聴覚士の技術が必要なことを実感します。そして、「言語聴覚士」という職業の意義を確認すると同時に、お互いに不自由さを乗り越えて「伝えよう」とする熱意にあふれた真剣勝負の時間を共有します。
長年にわたる信頼関係の証です
OHSUならではの社会参加の仕組み
「学生により良い学びを」という思いで構築した教育システムは、学習の機会の提供にとどまらず、教育支援員の方が社会に参加し貢献される機会としても活かされています。
学生さんとの対話会は、失語症の方にとって、自分以外の失語症の方々を知ることが出来る、そして言語聴覚士以外の人たちとコミュニケーションを取る体験が出来るメリットがあります。いつも自分の趣味などを記した資料を広げながら皆さん生き生きと語っておられます。ある時ふとコミュニケーションの主導権を失語症の方々が握っていることに気付きました。病院の訓練では、言語聴覚士がサポートしながら誘導していたかも知れません。しかし学校では、手探りの学生さんたちを、失語症の方々が引っ張ってコミュニケーションを展開していたのです。学生さん達の熱意も後押しとなって、病院では見ることの出来ない失語症の方々の力を垣間見た一瞬でした。
ある意味、失語症でなければ対話会に協力することは出来ません。そしていずれ発症間もない失語症の方々と出会い訓練を担っていく学生さん達にとって、目指すべきベテランの失語症の方々を知ることが出来る貴重な場です。対話会はそんな素晴らしい機会であると改めて感じ入りました。失語症の方達の社会貢献と、言語聴覚士を目指す学生さん達を育てる、何にも勝る素晴らしい授業だと私は思います。