学生さんとの対話会は、失語症の方にとって、自分以外の失語症の方々を知ることが出来る、そして言語聴覚士以外の人たちとコミュニケーションを取る体験が出来るメリットがあります。いつも自分の趣味などを記した資料を広げながら皆さん生き生きと語っておられます。ある時ふとコミュニケーションの主導権を失語症の方々が握っていることに気付きました。病院の訓練では、言語聴覚士がサポートしながら誘導していたかも知れません。しかし学校では、手探りの学生さんたちを、失語症の方々が引っ張ってコミュニケーションを展開していたのです。学生さん達の熱意も後押しとなって、病院では見ることの出来ない失語症の方々の力を垣間見た一瞬でした。
ある意味、失語症でなければ対話会に協力することは出来ません。そしていずれ発症間もない失語症の方々と出会い訓練を担っていく学生さん達にとって、目指すべきベテランの失語症の方々を知ることが出来る貴重な場です。対話会はそんな素晴らしい機会であると改めて感じ入りました。失語症の方達の社会貢献と、言語聴覚士を目指す学生さん達を育てる、何にも勝る素晴らしい授業だと私は思います。