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対象となる障がいと臨床

発達障害

発達のアンバランスや遅れにより、人とのコミュニケーションが取り難い、
注意集中できない、読み書きが難しいといった特徴が表れます。
まず、そのお子さんの特性を理解することが大切です。

発達過程で現れる行動や
コミュニケーション、
社会性などに関する障害

生まれつきの脳の状態によって発達上のアンバランスがあり、社会生活上の「生きづらさ」を抱えた状態のことをさします。一般に、「自閉症スペクトラム(ASD)」、「注意欠如多動性障害(ADHD)」、「学習障害(LD)」などのことを言います。「ASD」は他人との関わりに関心が向きにくい、ことばの使い方が文脈に合わない、興味・関心の偏りやこだわりなどにより、他者との社会的な関わりに様々なズレを生じてしまう状態をさします。「ADHD」は、年齢や発達のレベルに比べると、注意が散漫である、落ち着きがない、待つことが苦手、といった状態です。「LD」は、知的な遅れや視力・聴力の低下がないにも関わらず、読むこと、書くこと、計算や推論、聞くことや話すことのいずれかに困難が生じている状態のことです。近年は「大人の発達障害」もクローズアップされてきました。職場で上手くコミュニケーションが取れない、仕事の段取りができない、自分でも努力しているのにどうしていいのか分からない、といった状態の背景には「ASD、ADHD、LD」などの特性がある場合があります。

自閉症スペクトラム(ASD)

先天性の特性によって、
他人との「社会的な関わり」に
さまざまなズレを引き起こします。

自閉ということばから、「心を閉ざしている人」、「自分の殻に閉じこもっている人」というような“心の病気”というイメージをもつ方がいるかもしれませんが、生まれつきの脳の機能障害であり、“先天的な特性”です。スペクトラムというのは、自閉の特性をまとめて持っている場合〜少しだけ持っている場合~正常(定型)発達までの境界が不鮮明なスペクトラム(=連続体)になっているという意味です。以下の3つがASDの基本特徴とされています。【社会性の障害】 … 人との関わり方が一方的、自分から関心を向けない、相手の感情や意図に気づきにくい、などの「他人と関係をつくること」に関する障害。【コミュニケーションの障害】 … 文脈に合わないことばの使用、会話を持続しくにい、パターン的な言い回しなどの「ことばや表情・身振りでやりとりすること」に関する障害。 【想像性の障害】 … 目には見えない事柄をイメージする力が弱い、気持ちの切り替えが苦手、同じような動きの繰り返しなどの「状況に応じて柔軟に考えること」に関する障害。3つの特徴を全て持っている人、一部だけ持っている人もいて、同じASDといっても表れ方は千差万別です。最近では100人に1〜2人程度はいると言われており、女性に比べると男性に多い傾向にあります。

注意欠如・多動性障害(ADHD)

じっとしていられない、
順番が待てないなどの、
「注意」や「行動」の
コントロールが苦手です。

ADHDの人は、一般に5歳頃には育ってくる「自己抑制」(自分の衝動を抑え、コントロールする力)が苦手で、発達年齢に見合わない多動性や衝動性、あるいは不注意などの症状が、小学校の高学年頃までに目立ってきます。ADHDの子どもには、以下の3つの基本症状があります。【多動性】… じっと座っていられない、いつも身体のどこかを動かしている、スーパーや学校などの公共の場面でも走り回る、など。【衝動性】 … ソワソワして落ち着かない、質問が終わらないうちに答えてしまう、順番を待つことが苦手、など。【不注意】…見落としなどのミスが多い、物をなくすことが多い、一つの課題や遊びに集中し続けることができない、など。こうした症状から、育て方やしつけが悪い、わざとやっているという誤解を受けてしまいがちですが、「脳の機能不全」が原因と考えられています。日本には、6歳から15歳の子供の3~7%程があてはまると言われており、男性は女性より数倍多いと言われています。また、大人になるにつれて多動などの「目に見えやすい症状」は軽減していく傾向にありますが、思考やコミュケーションにおいては、ADHDの特性は持ち続けるといわれています。

学習障害(LD)

知的な遅れや
視力・聴力の低下がないにも関わらず、
聞く、話す、読む、書くなどに
困難が現れます。

知的な遅れや視力・聴力の低下がないにも関わらず、読むこと、書くこと、計算や推論、聞くことや話すことのいずれかに困難が生じている状態を「学習障害」と言います。原因は中枢神経系に何らかの機能障害があると考えられており、幼児期は目立たなくとも、小学校に入学してからの学習の中で困難が表れてくることが多いようです。特徴としては、文字からことばの音を思い出すことが難しかったり、目で見て文字の形を認識することに困難があったりと、文字情報を理解することに困難がみられます。読みが難しいと、書くことにも困難が出てきます。本を読んでいても文字を読み飛ばすことや、どこを読んでいるのか分からなくなってしまうこともあります。読みは可能でも書けない場合や、計算のみが難しい状態も学習障害のひとつです。外からは見えにくい障害であり、「努力不足」や「怠けている」と誤解を受けることもしばしばあります。自分なりの学び方の工夫や得意な力を伸ばすことで、大学に進学する人、職業的に活躍している人も少なくありません。調査によって幅がありますが、小・中学校のクラスに少なくとも1〜2人程度、学習面での困難を有する児童生徒がいると考えられています。

こんな未来も始まっています。

言語聴覚士による保育所や学校の訪問支援、タブレット端末などを利用したコミュニケーション支援・学習支援など、様々な取り組みが始まっています。言語聴覚士の役割が医療・福祉から教育の分野にも広がっていくなかで、コミュニケーションをよりよく進めるための仲介役としても期待されています。医学分野では、「自閉症スペクトラム」の血液検査による診断の研究や、ホルモンの一種を用いた治療の研究も進められています。また、コンピューターを用いた表情の読み取りトレーニングの試作も始まっており、日常生活への応用に期待が高まっています。

周囲の方へ。

子どもでも大人でも、発達障害特性のある人の場合、失敗を咎めたり反省させたりすることよりも、できたことを認める、褒める、どうすれば良いかを伝える、一緒に考える姿勢が重要です。ただし、それは至れり尽くせりで「転ばぬ先の杖」を周囲が“過剰に”用意することとは違います。大なり小なり人は間違いも失敗もします。それらが「ダメなこと」というメッセージばかり伝えないことです。安心できる環境で失敗し、立ち直り、問題解決をしていく中で、コミュニケーションの力や社会性も伸びていきます。例えば、その場所は遊びの中や学校生活、家庭生活です。そして、その子・その人なりの学び方や考え方のスタイルを尊重することが必要です。

もしかしたらと思ったら...

区市町村の子育て支援や障害福祉の窓口で、地域にある療育機関やサポート機関について問い合わせましょう。医療機関では、小児神経科医や児童精神科医、発達障害に詳しい小児科医などを受診します。また、臨床発達心理士、臨床心理士など心理を専門とする職種や保健師、作業療法士、言語聴覚士などの専門職、保育士、社会福祉士、スクールソーシャルワーカーのような福祉職が各種の相談、療育・指導・訓練に関わります。特定の理論や技法による療育を進めている大学や民間施設もあります。診断の有無に関わらず、相談機関を利用して問題を一人で抱え込まないことを強くお薦めします。